転職で年収が下がる5つの原因と対策|不安を解消する条件の確認方法

転職で年収が下がる原因は、相場・市場価値・年収の内訳を確認しないまま進めることです。5つの原因と対策、求人票の年収表記の読み方、給与交渉の手順、下がっても転職すべきかの判断基準を解説します。

転職で年収が下がる主な原因は、業界・職種の相場や自分の市場価値を調べないまま活動を進めること、求人票の年収表記を正しく読めていないこと、給与交渉をせずに内定を承諾することの3点に集約されます。いずれも転職前の準備で防げるものです。

この記事では、転職で年収が下がる5つの原因、求人票の年収表記の読み方、年収を守るための対策と給与交渉の手順、内定後に確認すべき項目を順に解説します。年収が下がっても転職したほうがよいケースの判断基準も紹介します。

転職で年収が下がる不安は「準備」で解消できる

転職と年収の不安を抱える人のイメージ

転職で年収が下がる不安は、「相場を知らない」「自分の価値を知らない」「条件を確認していない」という3つの不明点から生まれます。この3つを転職前に明らかにすれば、年収が下がるかどうかは事前に予測でき、下がる場合でも納得したうえで判断できます。

転職で年収が上がる人と下がる人の違いは、能力の差というより、次の準備をしたかどうかの差です。

  • 希望する業界・職種の年収相場を調べたか
  • 自分のスキルや経験が転職市場でどう評価されるかを確認したか
  • 求人票や内定通知の年収の内訳(基本給・残業代・賞与・手当)を確認したか
  • 内定を承諾する前に給与交渉をしたか

転職者の賃金が前職と比べてどう変化したかは、厚生労働省「雇用動向調査」で毎年公表されています。転職で賃金が増える人も減る人も一定数いるため、「転職すれば必ず年収が下がる」という前提は正しくありません。年収は、転職先の選び方と条件確認の精度で大きく変わります。

転職で年収が下がる5つの原因

業界別平均年収の比較グラフイメージ

転職で年収が下がる原因は、次の5つに整理できます。1〜3は転職活動の進め方、4〜5は条件確認の不足によるものです。

原因 何が起きるか 主な対策
1. 業界・職種の相場を知らない 相場の低い業界に移り、同じ経験年数でも年収が下がる 求人票や公的統計で相場を調べる
2. 自分の市場価値を知らない 自己アピールが弱く、低い提示額しか得られない 転職エージェントや年収診断で客観評価を得る
3. 給与交渉をしない 企業の初回提示額のまま入社する 根拠を用意して承諾前に交渉する
4. 基本給と総支給額を混同する 求人票の年収に残業代・賞与が含まれ、実収入が減る 内訳を確認し、前職と同じ基準で比較する
5. 試用期間の給与を確認していない 入社直後の数か月、提示額より低い給与になる 雇用契約書で試用期間の条件を確認する

原因1:業界・職種の平均年収の違いを把握していない

業界や職種が変わると、同じ経験年数・同じ役職でも年収の水準が変わります。相場を調べずに「なんとなく良さそうな会社」を選ぶと、業界の相場に引きずられて年収が下がることがあります。

業界別・職種別の賃金の水準は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」や国税庁「民間給与実態統計調査」で公表されています。転職先候補の業界がどの水準にあるかを、転職活動を始める前に確認しておきましょう。

異業種への転職を検討している場合は、「年収が下がる可能性がある」という前提に立ち、年収以外に何を得たいのかを先に明確にしておくことが重要です。

原因2:自分のスキル・経験の市場価値を把握していない

市場価値とは、転職市場において自分のスキルや経験に対して企業が支払う年収の目安です。現職での評価が高くても、市場価値と一致するとは限りません。

特に、特定の会社や業界でしか通用しない知識や、社内システムの操作スキルは、転職市場では評価されにくい傾向があります。逆に、現職では当たり前とされているスキルが、他社では高く評価されることもあります。

自分の強みを客観的に棚卸ししないまま面接に臨むと、自己アピールが弱くなり、企業側の提示額が低くなりやすくなります。転職エージェントの面談や転職サイトの年収診断を使い、第三者の視点で市場価値を確認しておきましょう。

原因3:給与交渉をせずに内定を承諾する

給与交渉をしないまま内定を承諾すると、企業の初回提示額がそのまま入社時の年収になります。企業は交渉の余地を残して提示することがあるため、交渉しない人はその分を受け取れません。

「給与交渉は失礼」と考える人は少なくありませんが、転職時の条件交渉は一般的なビジネス上のやり取りです。根拠を示して丁寧に伝えれば、交渉したこと自体で評価が下がることはほとんどありません。

転職エージェントを使わない場合は、自分で交渉する必要があります。交渉の手順は、この記事の「給与交渉を成功させる手順とコツ」で解説します。

原因4:基本給と総支給額を混同している

総支給額とは、基本給に各種手当・残業代・賞与を加えた、税金や社会保険料を差し引く前の金額です。求人票の「年収」は総支給額で書かれることが多く、基本給だけの金額とは大きく異なります。

例えば、前職が「基本給25万円、残業代が月10万円、賞与100万円」だった場合、年収は基本給300万円+残業代120万円+賞与100万円で520万円です。転職先が「年収520万円(固定残業代込み・賞与なし)」なら、数字は同じでも中身が違います。残業が減っても収入は増えず、賞与による上振れもありません。

前職と転職先の年収を比較するときは、基本給・残業代・賞与・手当をそれぞれ同じ基準で並べる必要があります。

原因5:試用期間中の給与が低く設定されている

試用期間とは、入社後に企業が本採用の可否を判断するために設ける期間で、一般的に3〜6か月です。試用期間中は本採用時より低い給与が設定されている企業があります。

内定時に提示された年収が本採用後の金額だった場合、実際にその金額を受け取るまで数か月かかります。転職直後は引っ越し費用などで出費が増えやすいため、試用期間中の給与額を知らないと生活設計が狂います。

試用期間の有無や期間中の給与は、労働基準法第15条に基づき企業が労働者に明示する労働条件に含まれます。雇用契約書や労働条件通知書で必ず確認してください。試用期間中の注意点は「転職の試用期間で失敗しない7つの注意点」で詳しく解説しています。

求人票の年収表記を正しく読む方法

スキルの市場価値を診断するイメージ

求人票の年収は、基本給・固定残業代・賞与・手当のどれが含まれているかを確認しないと、前職と比較できません。「年収500万円以上」と書かれていても、固定残業代や各種手当を含んだ金額である場合があります。

確認すべき年収の内訳

項目 確認すること 見落とすとどうなるか
基本給 月額はいくらか。賞与・退職金の計算基準になるか 基本給が低いと賞与・残業代の単価も低くなる
固定残業代(みなし残業代) 何時間分でいくらか。超過分は別途支給されるか 残業が少なくても多くても収入が同じになる
賞与 支給の有無、年何回、算定基準(業績連動か基本給の何か月分か) 「賞与あり」でも業績次第で大きく減る
各種手当 住宅・家族・通勤・資格手当の有無と金額 前職の手当が無くなり実質年収が下がる
昇給 年何回、どの基準で上がるか 入社時の年収が同じでも数年後に差がつく
退職金制度 有無、退職一時金か企業型確定拠出年金か 長期的な受取総額が変わる

固定残業代については、職業安定法第5条の3および厚生労働省の指針により、求人の際に「固定残業代の金額」「何時間分か」「超過分を追加支給すること」を明示するよう求められています。求人票にこれらの記載が無い場合は、面接や内定時に確認してください。

福利厚生も年収の一部として比較する

住宅手当や家賃補助などの福利厚生は、年収の数字に表れない実質的な収入です。例えば、前職で月3万円の住宅手当があり、転職先に同じ手当が無い場合、年間36万円の差が生まれます。表面上の年収が同じでも、手当の有無で生活水準は変わります。

転職先を比較するときは、年収・手当・退職金制度・休日数をまとめて一覧にし、合計でどちらが有利かを見てください。求人票の各項目の読み方は「転職求人票の見方完全ガイド」でチェック項目ごとに解説しています。

転職前にできる年収を守るための3つの対策

給与交渉のイメージ

転職前にできる対策は、市場価値の調査、スキルアップ、複数企業への応募の3つです。いずれも転職活動を始める前、または応募と並行して行います。

対策1:市場価値を調べて年収の基準を持つ

市場価値の調査は、給与交渉の根拠になるため、転職活動の最初に行います。次の3つの方法を組み合わせると精度が上がります。

  1. 転職サイトの年収診断を使う。doda・リクナビNEXT・マイナビ転職などの大手転職サイトには、職種・年齢・経験を入力して年収の目安を出す機能があります(各サービスの機能名と提供状況は要確認)
  2. 転職エージェント2〜3社に登録し、担当者に「自分のスキルがどの程度の年収で評価されるか」を聞く
  3. 希望する業界・職種の求人票を20〜30件見て、年収の下限・上限の分布をつかむ

この3つで得た数字を「自分の年収レンジ」として持っておくと、企業の提示額が相場より低いかどうかを判断できます。

対策2:スキルアップで市場価値を高めてから転職する

転職前に市場価値を高めておくと、より高い年収レンジの求人に応募でき、交渉でも有利になります。業界を問わず評価されやすいのは、次の分野です。

  • IT・デジタルスキル(データ分析、ITパスポート・基本情報技術者試験などの資格)
  • 語学(TOEICのスコアなど)
  • マネジメント経験・プロジェクト管理(PMPなどの資格)

資格は「持っていること」より「業務でどう使ったか」が評価されます。転職活動と並行して学習を進め、職務経歴書で成果と結びつけて書けるようにしておきましょう。

対策3:複数の企業に応募して比較できる状態を作る

1社だけに絞って活動すると、提示された条件を比較する基準が無く、交渉もしにくくなります。複数の企業に同時に応募し、複数の内定または選考中の企業を持っておくと、条件を比較したうえで判断できます。

ただし、内定を承諾したあとに辞退することは、企業に大きな迷惑をかけます。承諾は、本当に入社する意思が固まった企業に対してだけ行ってください。

給与交渉を成功させる手順とコツ

転職年収低下の原因まとめイメージ

給与交渉は、「実績」「市場データ」「希望額の幅」の3点を用意し、内定通知から承諾までの間に伝えるのが基本です。

手順1:希望年収を根拠とともに決める

「前職と同水準以上を希望します」だけでは根拠が弱く、企業は判断材料を持てません。次の3点を組み合わせて伝えます。

  • 実績: 前職で担当した業務と、数字で示せる成果
  • 市場データ: 求人票や年収診断で調べた、同じポジションの年収レンジ
  • 希望額: 「〇〇万円〜〇〇万円」と幅を持たせた金額

伝え方の例は次のとおりです。「前職では〇〇のプロジェクトを担当し、〇〇という成果を出しました。同じ職種の求人を調べたところ年収は〇〇万円から〇〇万円が多かったため、〇〇万円から〇〇万円を希望します」

幅で伝えると、企業側は予算の範囲内で調整しやすくなり、交渉が決裂しにくくなります。

手順2:交渉のタイミングを見極める

給与交渉に適したタイミングは、最終面接で希望年収を聞かれたときと、内定通知を受けてから承諾するまでの間です。書類選考や一次面接の段階で年収の話を先に出すと、条件面だけを重視していると受け取られることがあります。

内定通知書に署名・承諾したあとの変更交渉は、非常に難しくなります。交渉は承諾前に済ませてください。タイミングの詳細は「転職時の給与交渉タイミングと成功する5つのコツ」で解説しています。

手順3:転職エージェントに交渉を任せる方法もある

自分で交渉することに抵抗がある場合は、転職エージェントが企業との年収交渉を代行します。エージェントは企業の予算感や過去の採用条件を把握していることがあり、現実的な落としどころを提案できます。

一方で、エージェントは求職者の入社が決まると企業から成功報酬を受け取る仕組みのため、担当者によっては早期の内定承諾を勧めることがあります。エージェントの提案をそのまま受け入れるのではなく、自分で調べた年収レンジと照らし合わせて判断してください。エージェントの選び方は「転職エージェントおすすめ7選失敗しない選び方と活用法完全ガイド」で解説しています。

内定後に確認すべき条件のチェックリスト

基本給と総支給額の違いを示す図

内定が出たら、オファーレターで年収の内訳と労働条件を確認し、不明点があれば承諾前に質問します。

オファーレターとは、企業が内定者に対して年収・勤務条件などを書面で提示する文書で、内定通知書や労働条件通知書と呼ばれることもあります。労働基準法第15条と労働基準法施行規則第5条により、企業は賃金・労働時間・就業場所などの労働条件を書面などで明示する義務があります。

チェック項目 確認するポイント
基本給 月額。求人票の記載と一致しているか
固定残業代 有無、何時間分か、超過分の支給方法
賞与 有無、回数、算定基準、入社初年度の扱い
試用期間 期間、期間中の給与、本採用の条件
昇給 時期、基準
各種手当 住宅・家族・通勤・資格手当の有無と金額
退職金制度 有無、種類
勤務条件 勤務地、転勤の有無、労働時間、休日数

書面に書かれていない条件は、口頭で説明されても後から確認できません。気になる点は必ず書面に反映してもらってから承諾してください。

年収が下がっても転職すべきケース、避けるべきケース

試用期間の給与確認イメージ

年収が下がる転職がすべて失敗ではありません。数年後の年収や働き方の改善が見込めるなら、一時的な年収ダウンを受け入れる判断もあります。逆に、下がる理由を自分で説明できない転職は避けるべきです。

年収が下がっても転職を検討してよいケース

  • 未経験の業界・職種へ挑戦し、数年後に現職より高い年収レンジに入る見込みがある
  • 残業が大幅に減り、時給換算では現職より上がる
  • 昇給ペースや賞与の水準が現職より高く、数年で逆転する見込みがある
  • 心身の健康を損なう職場から離れる必要がある
  • リモートワークや勤務地の変更で、生活費や通勤時間が減る

年収が下がる転職を避けたほうがよいケース

  • 下がる理由が「相場を調べなかった」「交渉しなかった」という準備不足によるもの
  • 転職先の年収の内訳を確認しておらず、いくら下がるのかを説明できない
  • 住宅ローンや教育費など固定費が多く、手取りが減ると生活が成り立たない
  • 現職への不満が一時的なもので、転職以外の解決策を検討していない

判断に迷う場合は、「年収がいくら下がると生活が成り立たないか」という下限を先に決めておくと、感情ではなく数字で判断できます。

年収の不安は無料の転職相談で整理できます

福利厚生と実質年収の関係イメージ

年収を下げずに転職できるかどうかは、相場・市場価値・条件確認の3点が明確になれば、活動を始める前におおよそ判断できます。ただし、業界の相場感や自分の市場価値を1人で正確に見積もるのは簡単ではありません。

UNLITD CAREERを運営する株式会社アンリット(有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-319937)では、無料の転職相談を受け付けています。「今の年収を維持できる転職先があるか」「この求人の年収表記は妥当か」「給与交渉で何を伝えればよいか」といった具体的な相談に、担当者が個別に回答します。

転職するかどうかを決めていない段階でも構いません。年収が下がる不安を抱えたまま活動を始める前に、一度ご相談ください。

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まとめ:転職で年収を下げないための7つのアクション

転職時の年収トラップ注意喚起イメージ

転職で年収が下がる原因は準備不足にあり、次の7つを順に行えば防げます。

  1. 希望する業界・職種の年収相場を、求人票20〜30件と公的統計で調べる
  2. 自分の実績・スキル・資格を棚卸しし、転職市場での強みを言葉にする
  3. 転職エージェント2〜3社と年収診断で、市場価値を客観的に確認する
  4. 転職活動と並行して、評価されやすいスキルの学習を進める
  5. 複数の企業に応募し、条件を比較できる状態を作る
  6. 実績・市場データ・希望額の幅をそろえ、内定承諾前に給与交渉をする
  7. オファーレターで基本給・固定残業代・賞与・試用期間・手当を確認してから承諾する

年収は、転職先の選び方と条件確認の精度で決まります。不安を感じている段階こそ、準備を始める適切なタイミングです。

転職で年収が下がる不安に関するよくある質問

転職すると年収は必ず下がりますか?

必ず下がるわけではありません。転職者の賃金変動は厚生労働省「雇用動向調査」で公表されており、増える人と減る人の両方が一定数います。相場の調査、市場価値の確認、条件の確認、給与交渉を行えば、下がるリスクは大きく減らせます。

未経験の業界に転職すると年収はどのくらい下がりますか?

金額は業界・職種・年齢によって異なるため、一概には言えません。未経験の場合は経験者と同じ年収レンジには入りにくく、一時的に下がることが多いと考えておくべきです。ただし、数年後の昇給や賞与の水準まで含めて比較すると、長期的には現職を上回るケースもあります。

給与交渉をすると内定が取り消されることはありますか?

根拠を示して丁寧に伝えた交渉が原因で内定が取り消されることは、通常ありません。避けるべきなのは、根拠の無い高額要求と、内定承諾後に条件を蒸し返すことです。希望額は幅で伝え、企業が調整できる余地を残してください。

「年収500万円以上」と書かれた求人は本当に500万円もらえますか?

固定残業代や各種手当を含んだ金額である場合があります。基本給・固定残業代の時間数・賞与の有無を確認し、前職と同じ基準で比較してください。職業安定法第5条の3に基づき、固定残業代の内容は求人時に明示するよう求められています。

試用期間中の給与が低い場合、断ったほうがよいですか?

試用期間中の給与が本採用時より低いこと自体は珍しくなく、それだけで断る理由にはなりません。ただし、期間の長さ・期間中の金額・本採用の条件が書面で明示されていない場合は、承諾前に必ず確認してください。労働基準法第15条により、企業には労働条件の明示義務があります。

転職エージェントに頼めば年収は上がりますか?

転職エージェントは交渉を代行し、企業の予算感を踏まえた落としどころを提案できますが、年収が上がることを保証するものではありません。自分でも相場を調べ、エージェントの提案が妥当かを判断できる状態にしておくことが重要です。

年収が下がる転職をしてしまった場合、取り戻せますか?

入社後の昇給・賞与・評価制度によります。入社時に「どの基準で昇給するか」を確認しておけば、取り戻すまでの期間を見積もれます。転職直後に再び転職することは経歴上の不利になりやすいため、まずは入社先で実績を積んでから判断してください。