営業職は、専門資格がなくても応募できる求人が多く、未経験からの転職先として選ばれやすい職種です。一方で、条件を確認しないまま応募して入社後に後悔する人もいます。
この記事では、未経験から営業職に転職する手順、面接で必ず聞かれる質問の答え方、求人選びで確認すべき条件を順に解説します。
未経験から営業職に転職できるのか|結論と前提条件

未経験から営業職への転職は可能です。営業職には必須の国家資格がなく、商品知識や商談の進め方を入社後の研修で教える企業が多いためです。厚生労働省「一般職業紹介状況」でも、販売・営業に関する職業は求人数が多い区分として公表されています。
ただし「誰でも受かる」という意味ではありません。未経験者の選考では、営業経験そのものではなく次の3点が見られます。
- 前職の経験を営業の仕事に結びつけて説明できるか
- なぜ営業職なのか、なぜその会社なのかを自分の言葉で言えるか
- 数字の目標がある働き方を理解したうえで応募しているか
この3点を準備できているかどうかで、選考の通過率は大きく変わります。転職活動にかかる期間は人によって異なりますが、在職しながら進める場合の目安は3〜6ヶ月です。
営業職とは?仕事内容と3つの種類・年収の目安

営業職とは、自社の商品やサービスを顧客に提案し、契約や購入につなげる職種です。「営業」と呼ばれる仕事の中身は、誰に売るか・どう接触するかで大きく変わります。まず種類を区別することが求人選びの出発点になります。
新規営業・ルート営業・インサイドセールスの違い
営業職は、顧客との関わり方によって新規営業・ルート営業・インサイドセールスの3つに大きく分かれます。
| 種類 | 主な相手 | 仕事内容 | 未経験者から見た特徴 |
|---|---|---|---|
| 新規営業 | 取引のない顧客 | 電話や訪問で新しい取引先を開拓する | 断られる回数が多い。成果が報酬に反映されやすい |
| ルート営業 | 既存の取引先 | 定期訪問で関係を維持し、追加提案や受注を行う | 新規開拓の負荷が小さく、関係構築が中心 |
| インサイドセールス | 見込み顧客 | 電話・メール・オンライン会議で社内から営業する | 外出が少ない。ITツールの操作に慣れた人が入りやすい |
新規営業とは取引のない顧客に自らアプローチして取引を始めるスタイル、ルート営業とは既存の取引先を定期訪問して追加提案を行うスタイルです。インサイドセールスとは、訪問せず電話・メール・オンライン会議で社内から行う営業スタイルで、内勤営業とも呼ばれます。
重要なのは、自分が続けられる働き方を選ぶことです。人と会って話すことが得意なら新規営業やルート営業、資料作成やツール操作が得意ならインサイドセールスが合いやすい傾向があります。
営業職に向いている人の特徴
営業職に向いているのは、対話しながら相手の課題を引き出し、断られても行動を続けられる人です。具体的には次のような特徴が挙げられます。
- 初対面の相手とも会話を続けられる
- 目標に向けて行動量を自分で調整できる
- 相手の立場を想像しながら話を聞ける
- 断られた理由を次の提案に反映できる
- 訪問や連絡の予定を自分で管理できる
すべてが揃っている必要はありません。応募時点で問われるのは、前職でこれらに近い行動をした経験を説明できるかどうかです。
営業職の年収とキャリアパス
営業職の年収は、業界・企業規模・個人の成果によって幅があります。職種別の賃金水準は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で公表されているため、応募前に最新の数値を確認してください。平均年収を430万〜500万円程度とする情報もありますが、調査年と職種区分が特定できないため参考値です(要確認)。
インセンティブ制度がある企業では成果に応じて収入が上振れしますが、求人票の上限額は「達成した場合の金額」であり、全員が到達する金額ではありません。
キャリアパスは、担当顧客を持つ営業担当者からリーダー、チームや部門のマネジメントへ進む流れが一般的です。営業で身につく顧客対応力・交渉力・進捗管理は他職種でも使えるため、企画職やカスタマーサクセスへ移る道もあります。
未経験でも営業職の求人が多い4つの理由

営業職に未経験歓迎の求人が多いのは、必要なスキルを入社後に育てる前提で採用が設計されているからです。主な背景は次の4つです。
- 採用の母数が大きい:営業は多くの企業に置かれる職種で、採用が継続的に発生します。
- 研修制度が整っている:商品知識や商談の進め方は企業ごとに異なるため、未経験者向けの研修を用意する企業が多くあります。
- 前職の業界知識が武器になる:介護の経験があれば介護用品メーカーの営業に、飲食の経験があれば飲食店向けサービスの営業に活かせます。
- ポテンシャル採用の枠がある:成長意欲や人柄を重視する採用枠は、20代から30代前半で活用されています。
ただし、未経験歓迎の求人が多いことは、人の入れ替わりが起きやすい職場も混ざっていることを意味します。後述する求人票の確認は必ず行ってください。
未経験から狙いやすい営業職と前職別の相性

未経験から狙いやすいのは、研修制度が整っていて、商材の理解に長い実務経験を必要としない営業職です。
未経験歓迎の求人が多い代表的な営業職
| 分野 | 主な仕事 | 未経験者にとっての特徴 |
|---|---|---|
| 不動産営業 | 住宅・土地・投資物件の売買や賃貸の提案 | 求人数が多い。宅地建物取引士の取得を支援する企業がある |
| 保険営業 | 生命保険・損害保険の提案 | 研修制度が整っている企業が多く、資格取得を支援される場合がある |
| IT・SaaS営業 | クラウドサービスなどの導入提案 | インサイドセールスの求人がある。ITツールに慣れた人が入りやすい |
| 人材営業 | 企業と求職者のマッチング | 前職の業界を問わず経験を説明しやすい |
| メーカーの法人営業 | 自社製品を企業に提案する | ルート営業中心の求人がある。製品知識を段階的に学べる |
給与水準や研修内容は企業ごとに異なるため、分野だけで決めず、個別の求人票で条件を確認してください。
前職の経験を営業でどう言い換えるか
未経験者の選考で差がつくのは、前職の経験を営業の言葉に翻訳できているかどうかです。
| 前職 | 営業に転用できる経験 | 相性のよい営業職 |
|---|---|---|
| 接客・販売 | 初対面の相手への対応、要望の聞き取り、クレーム対応 | 不動産営業、保険営業、人材営業 |
| 事務・バックオフィス | 資料作成、進捗管理、社内外の調整 | インサイドセールス、IT・SaaS営業 |
| 医療・介護・福祉 | 業界特有の制度や現場の理解、対人対応 | 医療機器・製薬関連の営業、介護福祉サービスの営業 |
| 製造・技術職 | 製品や工程の知識、品質と納期の管理 | 技術営業、メーカーの法人営業 |
自分の出身業界と近い商材を扱う営業職を選ぶと、業界知識がそのまま志望動機の裏づけになります。
未経験の営業転職を進める5ステップ(期間の目安つき)

未経験からの営業転職は、自己分析、業界の絞り込み、書類作成、面接準備、応募の順に進めます。各ステップの期間の目安は、在職しながら進める場合を想定して見出しに記載しています。
ステップ1 自己分析で営業に転用できる経験を洗い出す(1〜2週間)
自己分析とは、これまでの経験・スキル・価値観を書き出し、強みと弱みを整理する作業です。営業未経験の場合は「営業に転用できる行動」を探すことが目的になります。職歴だけでなくアルバイトや社内の委員活動まで書き出し、それぞれ「なぜ取り組んだか」を掘り下げてください。
経験は数字とセットで残します。「1日に何人の顧客に対応したか」「月に何件の問い合わせを処理したか」といった数字は、そのまま職務経歴書と面接で使えます。
ステップ2 業界と営業スタイルを3〜5社に絞り込む(1〜2週間)
法人向け営業(BtoB)は企業を相手に商談を進めるスタイル、個人向け営業(BtoC)は一般消費者に提案するスタイルで、必要な準備も働き方も異なります。まずどちらを志望するかを決め、企業は最低でも3〜5社に絞り込んで比較してください。
採用ページ、求人票、社員の口コミサイトを併用すると情報が一方向に偏りません。「どの業界でもいい」という状態で面接に進むと、志望動機が具体化せず熱意が伝わりません。
ステップ3 職務経歴書に営業への転用を書き足す(1〜2週間)
職務経歴書とは、これまでの職歴・担当業務・実績をまとめ、応募先が能力を判断するために使う書類です。未経験者の場合、経験の量ではなく営業への転用可能性の説明が評価を分けます。
- 前職の成果を数字で書く(対応件数、担当範囲、継続期間など)
- 「営業職への転用」という項目を設け、前職スキルと営業業務の対応関係を明示する
- 志望動機は「なぜ営業か」「なぜこの業界か」「なぜこの会社か」の3点に分けて書く
書類の基本構成や職種別の書き方は「職務経歴書の書き方完全ガイド」で詳しく解説しています。
ステップ4 面接練習をSTAR法で組み立てる(1〜2週間)
未経験者の面接では「なぜ未経験から営業職を目指すのか」がほぼ確実に問われます。回答はSTAR法で組み立てると伝わりやすくなります。STAR法とは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の4要素で経験を整理する説明の型です。
模擬面接は複数回行ってください。転職エージェントの面接対策は無料で使えます。自分の回答を録画して見返すと、話す速度や姿勢の改善点を確認できます。
ステップ5 応募と選考を並行して進める(1〜2ヶ月)
応募は複数社を並行して進めます。選考時期が重なることで条件を比較でき、1社の結果に左右されにくくなります。在職中は面接の日程調整がボトルネックになるため、面接に充てられる曜日と時間帯を先に決めておいてください。
営業未経験の面接で必ず聞かれる質問と回答例

営業未経験者の面接では、志望動機・強み・目標への向き合い方が共通して問われます。以下の回答例は、自分の経験に置き換えて組み立て直してください。
「なぜ未経験から営業職を志望するのですか」
前職を辞めたい理由ではなく、営業でやりたいことに焦点を当てて答えます。営業という仕事を理解したうえで選んでいるかが見られています。
回答例:「前職では事務職として3年間、社内外の調整業務を担当していました。お客様から感謝の言葉をいただいたときにやりがいを感じ、もっと直接的に課題解決へ関わりたいと考えるようになりました。営業職であれば自分の提案と行動が成果につながると考え、挑戦したいと思っています。」
「営業に活かせるあなたの強みは何ですか」
強みは、前職の行動を営業の業務に対応づけて説明します。「特にありません」と答えるのは避けてください。
回答例:「私の強みは、相手の話を最後まで聞いたうえで必要な情報を整理する力です。前職のカスタマーサポートでは1日あたり数十件のお客様対応を担当し、要望を担当部署に引き継ぐ役割も担っていました。営業でもまず顧客の課題を聞き取り、そのうえで提案したいと考えています。」
件数や期間などの数字を入れると説得力が上がりますが、実際にない数字を作らないでください。
「数字の目標にどう向き合いますか」
営業職には数値目標が設定されるのが一般的です。「プレッシャーは苦手です」と答えると懸念が残り、「まったく気になりません」と答えると実感がないと受け取られます。受け入れたうえでどう行動するかを話してください。
回答例:「数値目標は、自分の行動を振り返る基準として必要だと考えています。前職でも月ごとの処理件数の目標があり、目標から逆算して日々の作業量を決める習慣がありました。プレッシャーは感じると思いますが、行動量を管理して対応したいと考えています。」
「5年後のキャリアプランを教えてください」という質問も頻出です。入社直後・数年後・その先の3段階に分けて答えると具体性が出ます。このほかの頻出質問と答え方は「転職面接でよく聞かれる質問30選と回答例」でまとめています。
未経験の営業転職で失敗しやすい3つの注意点

未経験の営業転職でつまずく原因は、給与条件の読み違い、労働環境の確認不足、転職理由の準備不足の3つです。
注意点1 求人票の月収を額面どおりに受け取らない
求人票に書かれた月収は、インセンティブや各種手当を含む上限額であることがあります。インセンティブとは、売上目標の達成度に応じて基本給に上乗せされる報酬です。固定給の比率が低い企業では、入社直後の収入が想定より少なくなります。応募前に次の4点を確認してください。
- 基本給の金額(固定残業代が含まれる場合は、その時間数と金額)
- インセンティブの支給条件と計算方法
- 試用期間中の給与と期間の長さ
- 交通費、住宅手当などの各種手当の有無
労働条件は、労働基準法第15条により労働契約の締結時に企業が明示する義務があり、職業安定法第5条の3により求人の申込み時点でも明示が求められています。口頭の説明だけで判断せず、交付された書面または電子データを確認してください。
注意点2 労働環境が不透明な求人を見分ける
求人情報だけで働きやすさを判断するのは困難です。次のような求人は追加の確認が必要です。
- 業務内容の記載が短く、「未経験歓迎」「学歴不問」だけが強調されている
- 収入の上限額のみが表示され、基本給の記載がない
- 同じ求人が長期間、常時掲載されている
- 残業時間や休日の記載がない
- 面接1回で即日内定を出し、返答を急がせる
確認の手段は3つあります。社員の口コミサイトを読むこと、面接の逆質問で「平均的な残業時間」「配属予定チームの人数」といった事実を聞くこと、転職エージェント経由で応募し担当者に職場の状況を確認することです。求人の見極め方は「転職でブラック企業を見分ける10の方法」で詳しく解説しています。
注意点3 転職理由をネガティブなまま話さない
転職理由を「前職が嫌だったから」と伝えると、面接官に「同じ理由で辞めるのではないか」という懸念を残します。事実は変えずに、これから何をしたいかで締めくくってください。たとえば「決まった業務の繰り返しで成長を感じにくかった」という理由なら、「より多くの顧客と関わり、提案力を身につけられる営業職に挑戦したい」という表現につなげます。
準備しておくべきは、前職を辞めようと思った理由、営業職を選んだ理由、その会社でなければならない理由の3点です。「給料が低かった」「職場の雰囲気が悪かった」という答えだけで終えると、評価されにくくなります。
転職エージェントの選び方と使い方

転職エージェントとは、求職者と企業の間に入り、求人紹介・書類添削・面接対策・日程調整・条件交渉を行うサービスです。求職者は無料で利用できます。職業安定法第32条の3により、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を受け取ることは原則として禁止されており、費用は求人企業が負担するためです。
未経験からの営業転職では、次の観点で選ぶと合いやすくなります。
- 未経験歓迎の求人を扱っているか
- 営業職に詳しいアドバイザーが在籍しているか
- 書類添削と模擬面接のサポートがあるか
エージェントごとに保有する求人が異なるため、2〜3社に登録して比較するのが基本です。登録数を増やしすぎると、連絡と日程調整の負担が大きくなります。
面談では「営業未経験であること」「希望する営業スタイル」「譲れない条件」を最初に伝えると、紹介される求人の精度が上がります。ただし、エージェント経由の求人がすべて安全とは限らないため、労働条件の書面は自分でも確認してください。各社の特徴は「転職エージェントおすすめ7選」で比較しています。
未経験からの営業転職に迷ったら無料相談を使う
営業職は求人数が多い分、自分に合う求人を選び分ける難しさがあります。新規営業とインサイドセールスのどちらが向いているのか、前職の経験をどの業界で活かせるのかは、一人では判断しづらい部分です。
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未経験から営業職への転職に関するよくある質問
営業未経験は何歳まで転職できますか
年齢の上限が法律で定められているわけではありません。労働施策総合推進法第9条により、募集・採用における年齢制限は原則として禁止されています。実際には、20代から30代前半はポテンシャル重視、30代後半以降は前職の業界知識やマネジメント経験を評価する採用が中心になる傾向があります。年齢が上がるほど、前職の経験と応募先の商材との関連性を説明することが重要になります。
未経験から営業職への転職はどのくらい期間がかかりますか
在職しながら進める場合の目安は3〜6ヶ月です。自己分析から面接準備までに1〜2ヶ月、応募と選考に1〜2ヶ月という配分が一般的です。応募数や選考回数、日程調整のしやすさで変わるため、あくまで目安として計画してください。
営業職はノルマがきついのでしょうか
数値目標が設定されるのは一般的ですが、厳しさは企業によって異なります。新規開拓中心で個人の成果が報酬に直結する企業と、ルート営業中心でチームの目標を追う企業では働き方が違います。面接では、目標の設定単位が個人かチームか、評価の頻度、未達成時の扱いを確認してください。
営業に必要な資格はありますか
営業職そのものに必須の資格はありません。ただし扱う商材によっては業務上必要な資格があります。不動産営業では宅地建物取引業法にもとづく宅地建物取引士、保険営業では生命保険募集人などの登録が該当します。入社後の取得を支援する企業が多く、応募時点で保有している必要はありません。
未経験の営業転職で年収は下がりますか
下がる場合と上がる場合の両方があります。前職の年収水準、応募先の基本給、インセンティブの設計で結果が変わるためです。特に固定給が低くインセンティブ比率が高い企業では、成果が出るまでの数ヶ月は収入が少なくなります。求人票の上限額ではなく、基本給と試用期間中の給与で判断してください。
営業職の志望動機はどう書けばよいですか
「なぜ営業職か」「なぜこの業界か」「なぜこの会社か」の3点に分け、それぞれに前職の経験を紐づけて書きます。前職を辞めたい理由から書き始めず、営業で何をしたいかを軸にしてください。3点のうち「なぜこの会社か」は、企業の商材や顧客層を調べないと書けないため、事前の企業研究が必要です。
転職エージェントとハローワークは併用できますか
併用できます。転職エージェントは書類添削や面接対策を受けられ、非公開求人を扱う点が特徴です。ハローワークは厚生労働省が設置する公的機関で、地域の中小企業の求人が中心です。
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