転職時の失業保険はいくら?受給条件と申請手順|注意点も解説

転職活動中に失業保険(雇用保険の基本手当)をもらえる3つの条件、いつから・いくらもらえるかの計算方法、ハローワークでの申請手順5ステップ、不正受給を避けるための注意点まで、初めての転職でも迷わないよう解説します。

退職から次の職場が決まるまでの生活費は、転職を考えるうえで大きな不安のひとつです。転職活動中でも、条件を満たせば失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取りながら求職を続けられます。この記事では、受給条件、いつから・いくらもらえるか、ハローワークでの申請手順、受給中の注意点を順に解説します。

転職時の失業保険(雇用保険の基本手当)とは

転職時の失業保険(雇用保険の基本手当)とは

失業保険とは、正式には雇用保険の「基本手当」という給付制度で、雇用保険に加入していた人が離職したあと、再就職を目指して求職活動をしている期間の生活費を支えるために支給されるお金です。運営は国で、窓口は住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。

雇用保険は、労働者が失業した場合の生活の安定と再就職の促進を目的とした公的な保険制度です(雇用保険法第1条)。会社員の給与から毎月天引きされている「雇用保険料」が、この給付の原資です。

転職活動中でも受給できる

失業保険は、次の勤務先を探している転職活動中の人も対象になります。「働いていない人だけがもらえる制度」ではありません。

ただし、すでに次の転職先が決まっている場合は受給できません。雇用保険法第4条第3項は「失業」を、離職した人が労働の意思および能力を持っているにもかかわらず職業に就くことができない状態と定めており、就職先が確定している状態はこれに当たらないためです。

申請しなければ1円も支給されない

失業保険は、自分で申請して初めて受け取れるお金です。退職しても自動的には振り込まれません。

在職中に雇用保険料を負担していても、申請しなければ支給はありません。退職を決めた段階で離職票の到着時期と必要書類を確認しておくと、給付開始までの空白期間を短くできます。

転職活動中に失業保険をもらえる3つの条件

転職活動中に失業保険をもらえる3つの条件

失業保険の受給には、次の3つをすべて満たす必要があります。1つでも欠けると受給できません。

  1. 離職前に一定期間、雇用保険に加入していたこと
  2. 雇用保険法上の「失業の状態」にあること
  3. ハローワークで求職の申し込みをしていること

条件1|雇用保険の被保険者期間が足りていること

原則として、離職日以前の2年間に、通算12か月以上の被保険者期間が必要です(雇用保険法第13条第1項)。

倒産や解雇で離職した「特定受給資格者」、契約期間満了などで離職した「特定理由離職者」に該当する場合は、離職日以前の1年間に通算6か月以上に緩和されます。

雇用保険は正社員だけの制度ではありません。1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるパート・アルバイトも加入対象です。加入の有無は、給与明細の「雇用保険料」欄で確認できます。

条件2|雇用保険法上の「失業の状態」にあること

「失業の状態」とは、離職して働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない状態を指します(雇用保険法第4条第3項)。単に無職であることとは異なります。

次のケースは失業の状態と認められず、基本手当を受給できません。

  • すでに転職先が決まっている
  • 病気やケガですぐに働ける状態にない
  • 妊娠・出産・育児のためにすぐ働けない
  • 学業に専念している
  • 自営業やフリーランスとして事業を開始した

病気やケガ、妊娠・出産・育児などで働けない場合は、受給期間の延長を申請できる制度があります。

条件3|ハローワークで求職の申し込みをしていること

失業保険を受け取るには、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行い、その後も定期的に「失業の認定」を受け続けなければなりません(雇用保険法第15条)。

失業の認定とは、原則4週間に1回の認定日にハローワークへ出向き、その期間に失業の状態だったことと求職活動を行ったことを申告して確認を受ける手続きです。正当な理由なく行かなければ、その期間分の基本手当は支給されません。

失業保険はいつからもらえる?待期期間と給付制限

失業保険はいつからもらえる?待期期間と給付制限

失業保険は、ハローワークで求職の申し込みをした日から数えて7日間の「待期期間」が終わったあとに支給が始まります。自己都合退職の場合は、そのあとにさらに「給付制限期間」が加わります。

待期期間とは、離職理由にかかわらず全員に適用される、基本手当が支給されない最初の7日間のことです(雇用保険法第21条)。給付制限期間とは、正当な理由なく自己の都合で退職した場合などに、待期期間の満了後さらに基本手当が支給されない期間のことです(雇用保険法第33条)。

自己都合退職と会社都合退職の違い

項目 自己都合退職 会社都合退職(特定受給資格者)
待期期間 7日間 7日間
給付制限 あり(要確認:期間は法改正で見直されているため最新情報の確認が必要) なし
支給開始の目安 待期期間+給付制限期間の経過後 待期期間の経過後
所定給付日数(被保険者期間10年未満) 90日 90〜180日
所定給付日数(被保険者期間20年以上) 150日 最大330日

所定給付日数とは、基本手当を受け取れる日数の上限のことで、離職理由・年齢・被保険者期間の組み合わせで決まります(雇用保険法第22条、第23条)。会社都合退職のほうが長く、同じ勤続年数でも受給総額が大きく変わります。

自己都合退職の給付制限期間は過去に短縮され、その後も法改正の対象になっています。適用される期間は離職日時点の制度で決まるため、ハローワークまたは厚生労働省の最新の案内で確認してください。

離職票の退職理由に納得できないときの対処法

離職票に記載された退職理由が実態と異なる場合は、ハローワークに申し出て異議を述べることができます。

離職票-2には会社が記載した離職理由が書かれ、本人が記入・押印する欄も設けられています。パワーハラスメントや過度な時間外労働、賃金の未払いといった事情で退職した場合、形式上は自己都合でも「特定受給資格者」または「特定理由離職者」と認定されることがあります。認定されれば給付制限がなくなり、所定給付日数も変わります。

判断するのはハローワークです。心当たりがある場合は、勤務記録やメール、診断書など状況を裏づける資料を持参して相談してください。

失業保険はいくらもらえる?給付額の計算方法

失業保険はいくらもらえる?給付額の計算方法

失業保険の1日あたりの支給額は「基本手当日額」と呼ばれ、離職前6か月間の給与から計算した「賃金日額」に給付率を掛けて算出します。給付率は賃金日額が低い人ほど高く、収入が低かった人ほど手厚くなる仕組みです。

賃金日額とは、離職前6か月間に支払われた賃金の合計を180で割った金額です。基本手当日額とは、賃金日額に給付率を掛けて求めた1日あたりの支給額です。

給付額を出す3ステップ

  1. 賃金日額 = 離職前6か月間の賃金合計 ÷ 180
  2. 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(およそ50〜80%)
  3. 受給総額の目安 = 基本手当日額 × 所定給付日数

賃金合計に含めるのは、基本給や通勤手当など毎月支払われる賃金です。賞与(ボーナス)は含みません。

賃金日額の水準 給付率の目安
低い 約80%
中程度 約50〜80%(賃金日額が高くなるほど逓減)
高い 約50%(上限額あり)

基本手当日額には年齢区分ごとの上限額と下限額が定められており、毎年見直されます。上限に達した人は、給与が高くてもそれ以上は支給されません。具体的な金額はハローワークの最新の基本手当日額表で確認してください。

月給30万円の人の計算例

月給30万円(賞与なし)の場合、賃金日額はおよそ10,000円です。給付率を55〜60%と仮定すると基本手当日額は5,500〜6,000円前後、所定給付日数が90日なら受給総額はおよそ50万〜54万円が目安になります。

これは概算で、実際の金額は年齢区分・給付率・上限額によって変わります。正確な金額は受給資格決定後に交付される書類で確認してください。

ハローワークでの申請手順5ステップ

ハローワークでの申請手順5ステップ

失業保険の申請は、離職票の受け取りから振り込みまで5つのステップで進みます。自己都合退職では支給開始まで数か月かかることもあるため、離職後は早く動くことが大切です。

STEP1|離職票を受け取る

退職後、会社から「雇用保険被保険者離職票-1」「同 離職票-2」の2種類が届きます。離職票がないと申請手続きを始められません。

郵送の目安は退職後10〜14日程度ですが、会社の手続き状況によって前後します。退職前に人事や総務へ発送時期を確認しておくと安心です。2週間以上届かない場合は会社に問い合わせ、解決しないときはハローワークに相談してください。

退職前後は、健康保険や年金の切り替えなど期限のある手続きが重なります。全体の流れは「転職・退職手続きの流れ7ステップ」で整理しています。

STEP2|必要書類をそろえる

ハローワークの窓口で手続きするには、次の書類が必要です。1つでも欠けるとその日は手続きできません。

書類 補足
離職票-1・離職票-2 退職した会社から郵送される
個人番号確認書類 マイナンバーカード、または通知カードと身元確認書類
本人確認書類 運転免許証など。マイナンバーカードがあれば兼ねられる
写真2枚 正面上半身・無帽。サイズと撮影時期の指定はハローワークで確認
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード 給付金の振込先として登録する
印鑑 求められる場合があるため持参しておくと安心

書類の細かい仕様は、ハローワークや時期によって取り扱いが変わることがあります。来所前に管轄のハローワークの案内で確認してください。

STEP3|ハローワークで求職申込みをする

書類がそろったら住所地を管轄するハローワークへ行き、求職申込書を提出して求職者として登録します。この手続きを行った日が、待期期間7日間の起算日です。

窓口では離職理由や希望する仕事の条件を確認されます。すでに入社日が決まっている場合や開業の準備を進めている場合は受給対象外になることがあるため、状況は事実のまま申告してください。

STEP4|雇用保険受給者初回説明会に参加する

求職申込みの数日後に指定される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。参加は受給の前提となる手続きで、欠席すると給付が遅れます。

説明会では、失業の認定の仕組みと認定日のスケジュール、求職活動実績として認められる行動、不正受給の罰則などが説明されます。当日は「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付されます。認定日ごとに使う書類なので大切に保管してください。

STEP5|失業認定を受けて振り込みを待つ

説明会のあと、原則4週間に1回の認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出して確認を受けます。

認定を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要です(給付制限期間中などは回数の取り扱いが異なる場合があります)。認定が下りると登録口座に基本手当が振り込まれます。振込までは1週間程度が目安です。

転職活動中に失業保険をもらうときの5つの注意点

失業保険は、ルールを知らずに受給すると不正受給と判断され、返還や納付を命じられます。転職活動と並行して受給する人が特に注意すべき点は次の5つです。

注意点1|アルバイト・副業の収入は必ず申告する

受給期間中のアルバイトや副業は、条件を満たせば可能です。ただし働いた日数・時間・収入は、認定日に必ず申告しなければなりません。

申告せずに働けば不正受給と認定されます。雇用保険法第10条の4は、偽りその他不正の行為で給付を受けた人に、支給額の返還に加えてその額の2倍以下の納付を命じることができると定めています。最大で不正受給額の3倍相当を支払うことになり、以後の給付も停止されます。

1週間の所定労働時間が20時間以上になると「就職した」とみなされ、支給対象から外れます。その範囲内でも、収入額に応じて基本手当が減額または繰り延べになる場合があります。迷う働き方をするときは事前にハローワークへ確認してください。

注意点2|認定日には必ずハローワークへ行く

指定された認定日にハローワークへ行かなかった場合、その認定対象期間分の基本手当は支給されず、次回に繰り越されることもありません。

面接や選考が認定日と重なりそうなときは、事前にハローワークへ相談してください。就職活動や病気など正当な理由があれば、認定日の変更が認められることがあります。認定日は交付書類に記載されています。

注意点3|求職活動実績は「認められる行動」で積む

求職活動実績として認められるのは、応募や相談など具体的な行動を伴うものです。求人情報を検索しただけ、閲覧しただけでは実績になりません。主に次の行動が実績として扱われます。

  • ハローワークでの職業相談・職業紹介
  • ハローワークが実施するセミナーや講習への参加
  • 求人への応募(書類選考・面接を含む)
  • 転職サイトからの応募(応募履歴が残るもの)
  • 民間の転職エージェントへの登録・面談

細部の取り扱いはハローワークごとに異なるため、何が実績になるかは説明会や窓口で確認してください。転職エージェントとの面談は実績として扱われることが多く、求人紹介も受けられます。選び方は「転職エージェントおすすめ7選」で解説しています。

注意点4|内定・就職が決まったらすぐ申告する

内定を得て入社日が決まったら、速やかにハローワークへ申告してください。就職日以降も基本手当を受け取り続けると不正受給になります。あわせて、再就職手当の申請ができないか確認しましょう。

申告が早ければ、次に説明する再就職手当の対象になる可能性があります。遅れると手当を受け取れないうえ、不正受給を疑われるおそれもあります。内定を承諾した時点で連絡するのが確実です。

注意点5|給付制限期間の生活費を退職前に用意する

自己都合退職では、待期期間に加えて給付制限期間があるため、退職から最初の振り込みまで数か月かかります。この間の生活費は自分で用意しておく必要があります。

備えのひとつが、残っている年次有給休暇を使い切ることです。有給休暇は在職中に取得するもので、退職後には消滅します。取得の進め方は「転職前の有給消化ガイド」で解説しています。健康保険と年金の切り替えも出費に影響するため、あわせて見通しを立てておくと安心です。

早く就職しても損をしない「再就職手当」

再就職手当とは、基本手当の所定給付日数を一定以上残して安定した職業に就いた場合に支給される就職促進給付のひとつです(雇用保険法第56条の3)。早く再就職した人が受給総額で損をしないように設けられた制度です。

「まだ給付日数が残っているから就職を先延ばしにしよう」と考える必要はありません。

再就職手当を受け取れる主な条件

  • 就職日の前日時点で、基本手当の所定給付日数が3分の1以上残っていること
  • 待期期間7日間が経過したあとに就職したこと
  • 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
  • 離職した会社やその関連会社への再就職ではないこと
  • 過去3年以内に再就職手当などを受けていないこと

支給額は残りの給付日数と基本手当日額をもとに計算され、支給率は残日数の割合で変わります。正確な金額はハローワークで確認してください。申請には勤務先が記入する書類が必要です。

転職時の失業保険で失敗しないためのポイント整理

失業保険で損をする人の多くは、制度を知らなかったのではなく、動き出すのが遅かったことが原因です。要点は次のとおりです。

  • 受給の前提は「被保険者期間」「失業の状態」「求職の申し込み」の3つ
  • 次の勤務先が決まっている状態では受給できない
  • 支給開始は待期期間7日の経過後。自己都合退職はさらに給付制限期間が加わる
  • 給付額は離職前6か月の賃金から計算され、賞与は含まない
  • アルバイト収入は必ず申告する。無申告は最大で3倍相当の負担につながる
  • 認定日の無断欠席は、その期間分の支給が消滅する
  • 早期に就職すれば再就職手当の対象になる可能性がある

離職理由の記載や被保険者期間の計算は個別の事情で結論が変わります。迷う点はハローワークの窓口で確認してください。

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失業保険の手続きと転職活動は、同時に進めることで結果が変わります。給付期間が終わる前に納得できる転職先を決められるかどうかは、活動計画の立て方次第です。

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退職時期を迷っている方も、すでに離職して活動を始めている方も、一度ご相談ください。

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転職時の失業保険に関するよくある質問

自己都合退職でも失業保険はもらえますか

もらえます。ただし7日間の待期期間に加えて給付制限期間があるため、支給開始まで時間がかかります。給付制限期間の長さは法改正で見直されており、離職日時点の制度が適用されます。自分に適用される期間はハローワークまたは厚生労働省の最新の案内で確認してください。

転職先が決まっている場合でも失業保険はもらえますか

もらえません。失業保険は、働く意思と能力があるにもかかわらず職業に就けない「失業の状態」にある人が対象だからです(雇用保険法第4条第3項)。事実と異なる申告をすれば不正受給になります。

アルバイトをしながら失業保険を受給できますか

条件を満たせば可能です。1週間の所定労働時間が20時間以上になると就職したとみなされ、支給対象から外れます。その範囲内でも、働いた日数・時間・収入は認定日に必ず申告する必要があり、収入額によっては減額されます。

失業保険の受給中に引っ越した場合はどうすればよいですか

管轄のハローワークが変わる場合は、転居先を管轄するハローワークで手続きを行えば引き続き受給できます。雇用保険受給資格者証など指定された書類を持参してください。手続きが遅れると認定日に影響が出ます。

病気やケガで求職活動ができない場合はどうなりますか

基本手当は受給できません。失業保険は「すぐに働ける能力があること」が前提のためです。ただし、すぐに働けない期間がある場合は受給期間の延長を申請できます。在職中に発生した傷病なら、健康保険の傷病手当金の対象になる場合もあります。

転職先がすぐ決まりそうでも失業保険は申請すべきですか

申請しておくことをおすすめします。受給資格の決定を受けていなければ、早期に就職した場合の再就職手当の対象にもなりません。転職活動が想定より長引いたときの備えにもなります。離職したらまず求職の申し込みを済ませておくと安全です。

失業保険の申請に期限はありますか

基本手当を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると所定給付日数が残っていても受給できません。申請が遅れるほど受け取れる日数が減るおそれがあるため、離職票が届いたら速やかにハローワークへ行ってください。